11)大規模修繕費用を安くするには
マンション管理会社にとって、管理委託費で儲けることは難しくなっています。
その理由は、マンション管理適正化法の制定やマンション管理組合の意識の向上に伴って、管理委託費に向ける目が厳しくなっているからです。
今では、管理組合主導で全面委託から一部委託に変更したり、管理委託費の引き下げを迫ることは当たり前になっています。
そして、管理会社としても同業者との競争が激しくなり、委託費の値下げを交渉されれば、管理仕様を落とさずに無条件で一定の値引きをすることは避けられません。
そんな管理会社にとって最後の聖域と言えるのが修繕工事です。
工事をするには元請け以下、下請け孫請けと複数の専門業者が関与するので、その複雑さや専門性から管理組合が主導に立つことが難しいのです。
そのため、現在でも修繕工事に関しては、管理会社の言いなりでおこなうマンションが多いです。
その場合、管理会社が実質的に工事の元請けとなります。
管理会社は修繕工事の元請けになることで、工事のたびに大きな利益を得ることができます。
なぜなら、下請け孫請けの重層構造から、マージン(中間手数料)や下請け業者からキックバックを吸い上げることができ、工事から次の工事までの周期を短めにコントロールすることで、いくらでも収入機会を増やせるからです。
チェック機能が働かないので、単価数量や工期を水増しして工事代金を高めに設定することなどもできてしまいます。
そして、それらのツケは修繕積立金の値上げや一時金の徴収などで、管理組合(区分所有者)に跳ね返ってくるのです。
では、マンションの価値を落とさず(逆に高め)、本当に必要な修繕工事を、適正な価格でおこなうためにはどうすればいいでしょうか。
そのためには、修繕工事を管理会社に任せきりにすることを止めて、管理組合主導型に変えなければなりません。
しかし、管理組合は基本的に建築工事に関して素人といっていいでしょう。
そこで、専門コンサルティング会社や設計事務所など実績のある第三者の専門家(パートナー)を選定し、建物の調査・診断から、施工業者の選定、工事の監督監理、長期修繕計画の見直しまで依頼することが必要となります。
工事の元請けを管理会社に任せる場合でも、工事方式を施工と監理を分ける設計監理方式(分離方式)にして、管理組合が選んだコンサルティング会社や設計事務所に監理を依頼すれば、管理組合に代わって工事の中身や費用などをチェックしてもらえます。
少なくとも、大規模修繕前の建物診断と工事監理だけは、管理組合が選定した業者に依頼できれば、全体の工事費をかなり圧縮することが可能でしょう。
【カテゴリ内記事一覧】